プロペラとリンケージ

プロペラは同じサイズとピッチでも形状が異なり推力が異なってきます。
また,取り付け方法,取付穴の大きさ,取り付け部分の厚さも様々でせっかく買ったのに取り付けられないこともでてきます。

電動機用プロペラ

プロペラの大きさの表し方  プロペラの断面は翼型と同じクラークYが多く用いられています。これらの単位はインチ(1 inch=2.54 ㎝) です。  プロペラは中心に行くほど角度がついています。これは中心付近も外側もピッチが同じくなるようにするためです。ピッチはネジなどと同じく一回転でいくら進むかを表しています。サイズはインチ単位で直径とピッチで表しています。 (例 9x4.5 直径×ピッチ)

ピッチ

電動機用プロペラの種類  モーターはトルク重視の回転数の低いものから50,000回転を超える高回転の物までさまざまです。プロペラも色々あります。  また,操縦席から見て時計回り(cw)と反時計回り(ccw)用のプロペラがあります。もちろん逆方向からみると回転方向は逆になります。実機ではイギリスはccw,アメリカ,日本ではcwです。また,双発機は左右逆に回転するものと同方向に回転するものがあります。

APCプロペラ  アメリカLanding Products Incの製品です。GF(ガラス繊維)強化ナイロン製プロペラです。  電動用はEが,特にスローフライ用はSFがついています。頑丈なプロペラです。  種類が豊富で,同じ直径とピッチでも幅などの形状が異なり推力の異なったものを選べます。

GWSプロペラ  GWSは台湾の企業です。(GWS Grand Wing Servo-Tech Co.Ltd)  軽量なプロペラですが,あまり強度がなく,高回転には向いていないようです。  直径とピッチが6030のような表記になっています。DDはダイレクトドライブの意味です。  EP表記もありますが、DDとの違いは分かりません。(同じに見えます)

グラウプナー  グライダー用の折り畳みプロペラにはグラウプナー(Graupner)がよく使われています。  ドイツの無線操縦模型メーカーでしたが,現在,商標権を韓国のSJ社へ譲渡しています。(Graupner/SJとなっている?)  グラウプナーは折ペラ以外にも、CAMブランドの電動機用プロペラを作っています。白い色のプロペラがあってなかなかきれいです。  直径とピッチが同じでも形状(幅など)によって推力は異なってきます。また,エンジン機用はフライホイル効果が必要なので電動機用より重くなっています。  基本的には大きいプロペラを低いKV値のモーターで回すか,小さいプロペラを高回転させるかですが,DDペラはあまり高回転には向いていません。直径6~7インチを高回転で使うときはAPCが良いと思います。

プロペラの種類 kakudai

 写真は上がDD,APC(6×3)ペラです。形状が異なっているのが分かります。外側の角度は同じようですが,中心付近は大きな差があります。外側と中心付近のピッチ(一回転で進む距離)が同じになるには,中心付近は大きな角度になります。中心付近の角度はAPCの方が大きくなっています。これは推力に影響します。DDでは離陸もやっとのところAPCは素晴らしい飛びを見せます。

プロペラの種類 kakudai

↑上はカーボン繊維強化ペラ,下はガラス繊維強化ペラです。

スローフライ用プロペラ

プロペラの種類 kakudai

 写真はAPCのプロペラで電動機用(写真上)とスローフライ用プロペラ(写真下)です。形状が異なり,スローフライ用プロペラはあまり高回転には向いていません。KV1000以下位だと思います。  スローフライ用プロペラを高回転させる場合,形状から重量バランスが取りにくいと思います。また,同じ直径とビッチでもプロペラ後流の影響は大きいような気がします。  下表は小川精機 OMA-3810-1050モーターに12Vの電圧を加えたときのデータです。SFがスローフライ用,Eが電動機用のプロペラです。

プロペラ電流電力推力
10×3.8SF37A466W1,600gf
10×4.7SF37A466W1,700gf
10×5E26A328W1,500gf
10×7E34A428W1,600gf

 スローフライ用プロペラの方が推力は大きくなっています。これはプロペラの先端に近い方の風量が大きいためと思います。  10×3.8SFと10×7Eが同じ推力となっています。SFはプロペラの外側,Eは中心付近の風速が大きいと思います。SFプロペラのほうがプロペラ後流の影響は大きいのではないでしょうか。

DJIタイププロペラ  プロペラの先端がカットされた形のプロペラでドローン用です。飛行機で使ったことはありません。ドローン用モーターにはこの方がいいのかなとも思いますが,飛行機とドローンの大きな違いは,プロペラの回転面への機体の投影面積です。飛行機はドローンより投影面積が大きく,プロペラの先端の形状が重要だと思います。 ※DJIは中国広東省の会社で,ドローンおよび関連部品を製造する世界最大手。 ※ドローンと書きましたが正しくはマルチコプターです。

プロペラの取り付け  プロペラの取り付けにはいろいろな方法があります。これらはモーターの形状に左右されます。モーターの形式には次のようなものがあります。

①モーターのカンにOリング用のネジ(突起)がついているタイプ
プロペラの取り付け

プロペラの取り付け部分(ハブ)の厚さによりOリングのサイズが異なる場合があります。

②モーターのカンに直接ネジが切ってあり,スピナー兼用のナットが付属しているタイプ
プロペラの取り付け

右回転と左回転のモーターがあります。ネジが右ネジと左ネジになっています。 ネジの長さよりもプロペラの取り付け部分が厚いと取り付けられない場合があります。 取り付けられるハブの厚さに制限があります。

③モーターのカンには何もなく直接モーターの回転軸に取り付けるタイプ
プロペラの取り付け

コレットとプロペラアダプターおよびナットで取り付けるかプロペラセーバー(= propeller shaft drive saver?)とOリングで取り付けます。 高回転の場合や大きいサイズのプロペラはコレットとプロペラアダプターが良いと思います。

取り付け器具
プロペラセーバーとOリング

↑プロペラセイバーとOリング。  着陸失敗などのアクシデント時にプロペラが外れてモーターやプロペラを保護します。

プロペラの取り付け

↑コレット,プロペラアダプター,スピナー兼用ナット

プロペラの取り付け
 コレットの替わりにイモネジで止めるタイプもあります。こちらもスピナー兼用ナットです。

プロペラの取り付け

↑コレット,ロペラアダプター,ナットとワッシャー,スピナーのセット。  組み立てると写真上になります。

プロペラの取り付け

↑コレット,ロペラアダプター,ナットの断面図

プロペラの取り付け

↑コレット,プロペラアダプター,スピナー兼用ナットタイプで取り付けたようす。

 コレットはコレットチャックの略だと思います。モーターの軸をプロペラアダプターのナットを回すことにより締め付けます。コレットの軸穴は当然モーターの軸とサイズが合う必要があります。また,アダプターやセーバーのプロペラ取り付け部分の径もプロペラのハブと合うことが必要です。  コレットとプロペラアダプターはセットで販売されています。

ハブ  プロペラをプロペラアダプター,プロペラセーバーに取り付ける部分をハブと言います。  ハブには直径と厚み,取り付け穴の径があり,同じ径,ピッチのプロペラでもサイズが異なります。取り付け穴は,APCプロペラにはいくつかアダプターが付属しているので問題が生じることはありません。他のプロペラもドリル刃で削れます。  どうしようもないのはハブの厚みです。できればハブの厚みも考慮して購入することをお勧めします。

↑上からDD5030,DD6043,APC6×4Eです。  DD6043とAPC6×4Eは直径は同じですがかなり厚みが異なります。

ハブ

↑ハブの厚さ以外にも穴の直径も異なります。プロペラに付属してくるアダプターは全て保存しています。

ハブ

↑ハブの厚さはOリングのサイズにも影響します。

 APCプロペラについては下記のページで検索できます。  APC MODEL AIRCRAFT PROPELLERS  画面右上に「search」があるのでここに入力すれば,直径(Hub Diameter),厚さ(Hub Thickness),シャフトの直径(Shaft Diameter)のデータが有ります。 「6×4E」は「6X4E」と入力して検索します。(「×」と「X」の違いがあります。半角大文字のエックスです。)サイズはインチ単位なので,㎜にするには24.5倍します。  oz(オンス)をgに直すには28.3495倍します。

2枚ブレードと3枚ブレード  2枚ブレードのプロペラが一般的ですが3枚ブレードのプロペラもあります。ブレードを増やすと推力が増えるかというとそうでもないようです。ドローン用の廉価版モーター「TAROT TL300H1 ブラシレスモーター正転用 MT1806-2280KV」に関するデータがありましたので下表に示します。  余り推力は変わりません。もちろんピッチだけではなく形状にもよりますが。  ただ,1Wあたりいくらの推力を出しているか(gf/W)を比較すると3枚ブレードの方が効率は良いと言えます。効率が良いということはバッテリーが長持ちするということになります。

TAROT MT1806 2280KV CW(18g)

 メーカーのデータをもとにW数,gf/Wを計算しました。  このモーターはアマゾンなどで1,000円以下で買えます。推力から見て総重量300g程度の小型機には十分だと思います。  他にもいろいろあります。モーターのカタログのプロペラサイズが参考になります。「モーターの推力計算」のページを参照してください。

ハブ kakudai

↑上記モーター付属の5インチ3枚ブレードペラ(正逆回転)と5インチDDペラ。

インチ・ミリメートル換算  インチをミリメートルに換算するには25.4倍します。

インチ直径㎜半径㎜
5127.063.5
6152.476.2
7177.888.9
8203.2101.6
9228.6114.3
10254.0127.0
11279.4139.7
12304.8152.4
13330.2165.1
14355.6177.8
15381.0190.5

折ペラ

折ペラの役割と形状  折ペラはモーターグライダーなどで使われます。上空でモーターを止めたとき,風圧で折りたたまれることで抵抗を減らせられます。再びモーターを回せば遠心力で広がります。  ただしESCの設定でブレーキONに設定していないと遠心力のせいで折りたたまれずに回ったままです。この時の抵抗はかなり大きく滑空性能に悪影響を与えます。普通のプロペラでもブレーキONでかなり滑空性能が変わります。  実機ではプロペラを止めてフェザリング(風とブレード面をほぼ平行にする)して滑空性能を上げています。

折ペラ

 普通のタイプ。上が組み立てたときの写真。ピンをスナップリングで止めますが,これが結構厄介です。  ハブ長さ:50㎜ 重さ:19.5g

折ペラのサイズ表記  下図のように,コレットのモーターの軸穴(C)は,サイズはいろいろありますが,特に似たサイズで3㎜と3.17㎜があり,注意が必要です。モーターも軸径が3㎜と3.17㎜があります。近いサイズで混在していて微妙なところで合いません。  次にハブの幅(S)とプロペラを留めるピン穴(R)です。ここが合わないとプロペラを固定できません。

リンケージ部品

ホーン  エルロンやエレベーター,ラダーに取り付けてサーボで動かします。ビスで止めます。  小型機で糸を使って「リンケージ」するときはシナベニアで自作しています。

ホーン kakudai

↑サイズはいろいろあります。写真のものは高さ約20㎜です。

ヒンジ  エルロンやラダー,エレベータを取り付けるための蝶番です。写真は一般的な小型機のものです。2㎜ビスナットで取り付けますが,2㎜ドリルで穴を開けて爪楊枝を差し込んで留めることもできます。軽い樹脂製のビスナットもありますが高価です。

ヒンジ

↑真ん中のタイプは最近見かけなくなっています。

軽量な機体では瞬間接着剤用のヒンジシートもあります。こちらはビスナットを使いません。ほかにも薄手のシートと両面テープなどもあります。「工作のテクニック」のページもご覧ください。

ロッドストッパー  サーボとホーンをつなぐもので,ピアノ線やカーボンロッドが使われます。端はZ型に曲げるか,専用のロッドエンドやロッドストッパーを使います。  私はいつもサーボ側をZ型に曲げ,他端はロッドストッパーを使っています。  サーボとホーンの間の距離がある場合はロッドを樹脂製のパイプの中を通します。

ロッド

↑樹脂製のパイプは両端近くと途中を数か所固定します。固定しないと引くときは良いのですが押すとき曲がって動作がおかしくなります。

ロッド

↑ロッドエンドです。上は1,000㎜ほどのロッドと樹脂製のパイプがセットで販売されています。  下のロッドエンドは金属制のロッドをはんだ付けして使用します。  カーボンロッドをエポキシ樹脂接着剤で留めても良いのですが,エポキシ樹脂接着剤は信頼性が不安です。

ロッドストッパー

↑ロッドストッパーです。サーボホーンやラダーやエルロンで使用します。

ロッドストッパー

↑ロッドストッパの使用例です。小型機なのでエルロンホーンは2㎜シナベニアです。ヒンジは瞬間接着剤用ヒンジシート(フリーカット)です。サーボが近いので1㎜ピアノ線がむき出しです。

ホイルストッパー  似たものにホイルストッパーがあります。車輪をピアノ線に止めるのに使用します。

ホイルストッパー

↑2㎜と3㎜です。

「工作のテクニック」のページの「リンケージとストッパー」も参照してください。


参考文献等 RC DEPOT

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