翼型の比較と翼断面図の作製

任意の大きさの翼断面図を作製し,リブを切り出すのは大変です。翼断面が正確かどうかにより期待した揚力が得られないこともあり大きく飛行に影響します。
 また,翼の断面の形状も揚力に大きな影響を与えます。
「標準的な翼座標」はイリノイ大学のサイトに約16,00種のデーターがあります。また,これらのデータを元に模型飛行機用に「Xfoil」で揚力計数などを計算した結果は「Airfoil Tools」にあります。
 これらのデータを元に翼型の特性比較などを行っています。
実寸大の翼断面図(cadまたはpdf)の作成につていは,ご希望があれば作成してこのページからダウンロードできるようにします。メールか掲示板をご利用ください。
 また,翼座標データーから実寸大のsvgファイルを作製するソフトもダウンロードできます。

翼型特性比較

標準的な翼座標  翼座標は前縁と後縁の距離を1として,前縁と後縁を結ぶ直線からの距離であらわします。  前縁がx=0:y=0,後縁がx=1:y=0でこの線が基準で取り付け角度0です。  表記の順番はx=1:y=0から左回りに翼上面を通りx=0:y=0,x=0:y=0から翼下面を通りx=1:y=0に戻ります。

ClarkY

 クラークYの例  基準線はx=0:y=0,x=1:y=0の直線なので,下面フラットのクラークYもフラット部分が基準ではありません。フラット部分を機体に平行にすれば約2.2°の取り付け角になります。  正しい座標の順番(標準的な翼座標)でないと翼型解析ソフト「xflr5」での揚力などの計算はできません。また,「翼座標データ画像変換ソフト」でも正しい画像がえられません。 ここでは「標準的な翼座標」を「標準座標」と略しています。

揚力の計算と特性曲線(グラフ)  模型飛行機用のフリーの2次元翼型解析ソフト「XFOIL」で揚力の計算が可能ですが,大変時間がかかります。幸い多数の翼型について「UIUC Airfoil Data Site」の翼座標を用いた計算結果を「Airfoil Tools」で公表してあります。ただし,レイノルズ数は5,000 10,000 20,000などのようになっています。ここのデータをもとに翼を選定しています。  風洞などを利用した実測データではないのでレイノルズ数が小さいときや迎え角が大きいときは正しい結果にはならないようです。特に翼厚が大きいとその傾向は大です。(グラフでおかしな曲線を描きます)  17~20㎝の翼弦長で3m/s程でゆっくり飛ばしたいときはレイノルズ数が小さいのでデータがなく類推するしかありません。  特性曲線(グラフ)は「Airfoil Tools」のデータを元にExcelで作成した揚力,抗力,揚抗比,風圧中心のグラフです。

翼型の選定  以下の点を見て翼断面を決めています。 ①取付角度(0~3°)の揚力係数 ②迎え角0のときの揚力  ※翼断面図は迎え角0の図です。 ③揚力が0になるときの迎え角(0~-角) ④失速角はいくらか(急激に揚力,揚抗比が増える角度) ⑤風圧中心の移動量 「揚力が最大になる角度」は「失速角」です。せいぜい10°以下の角度で揚力を判断します。  また,水平飛行については取り付け角で判断します。

標準的な翼座標と特性

 模型飛行機の定番ClarkY型

ClarkY
標準座標と特性曲線

ClarkZ
標準座標と特性曲線

ClarkZ
標準座標と特性曲線

n10
標準座標と特性曲線

n4412
標準座標と特性曲線

 キャンパー翼

E385
標準座標と特性曲線

n6409
標準座標と特性曲線

Eiffel385
標準座標と特性曲線

 対称翼

n0012
標準座標と特性曲線

n2412
標準座標と特性曲線

> raf34
標準座標と特性曲線

 厚い翼型

> n4418
標準座標と特性曲線

n63618
標準座標と特性曲線

> n64515
標準座標と特性曲線

 薄い翼型

rg15
標準座標と特性曲線

rg8
標準座標と特性曲線

 平板翼

n0006
標準座標と特性曲線

翼断面の違と特性比較  上記の翼データのグラフを重ねて比較してみました。  高翼機はClarkY,ClarkZあたりが無難です。準対称翼としてraf34,対称翼としてはNACA2412がお勧めです。  キャンパー翼は作りにくいので下面をフラットにする方法もあります。E385の下面フラットも使えます。  翼弦長15㎝以下,総重量150g以下では平板(スチレンボード)でも良く飛びます。

 定番のクラークYと作りやすい下面フラットのクラークZの比較

rg8
特性比較

風に強い翼として反対称翼RAF-34とクラークYの比較

rg8
特性比較

グライダー用に適していると思われるrg翼型とクラークYの比較

rg8
特性比較

揚力の大きいn10とクラークYの比較

rg8
特性比較

NACA 0006(平板翼)とクラークY,クラークZの比較

rg8
特性比較

NACA 0006(平板翼)とnaca0012 raf34の比較

rg8
特性比較

NACA 6409 Eiffel385 E385 比較

rg8
特性比較

準対称翼の比較

rg8
特性比較

Eppler E385と クラークY,クラークZの比較

rg8
特性比較

翼断面図の作製申し込み

翼断面図の作成依頼方法

 ご希望があれば翼断面図を作成してここからダウンロードできるようにします。翼型,翼弦長,スパーなどの位置,プランク作業の有無,テーパー翼の場合は最大翼弦長と最小翼弦長と数を次のメールフォームでお知らせください。  ファイル形式は実寸大での印刷を考えてAR_CADのdxfファイルです。用紙はA4縦で印刷してください。 連絡していただく項目 ①翼型 ②翼弦長 ※テーパー翼の場合は中心と翼端の長さとリブ数(片翼)  例 150 100 15 ③前縁材の厚さ ④前上プランク材厚さ ⑤前下プランク材厚さ ⑥前上スパー(数値 数値) ※二つの数値の間にスペースを入れてください。  例 5 5  5×5の意味です。 ⑦1/3位置上スパー(数値 数値) ⑧1/3位置下スパー(数値 数値) ⑨後上プランクざ厚さ ⑩後上スパー(数値 数値) ⑪エルロン幅 ※単位は㎜です。

翼断面図

ご希望があればメールで依頼してください。

メール送信翼型用フォーム



解凍・ファイル変換・印刷  ダウンロードファイルはdxf形式です。 安心の国産圧縮解凍ソフトです。  使いやすいと思います。下記からダウンロードできます。   株式会社キューブ・ソフト (CubeSoft, Inc.) フリーで公開していただいているCADソフトです。dxfファイルが扱えます。  日本企業なので表示,マニュアルも日本語です。また,web上にも多くのヒントがあります。  株式会社SHFのページの「一般ダウンロード用」をダウンロードします。無料です。   株式会社SHF dxfファイルは下記のサイトで様々な形式に無料で変換してくれます。28種類の変換が可能です。  AI,BMP,DWG(AutoCAD),GIF,JPEG,PDF,SVG,XLSXなど   DXFから他形式へのコンバーター  画面の下の方で変換形式を選択して画面上にドラッグし,変換後ダウンロードします。

翼座標データサイト

「UIUC Airfoil Data Site」のサイトに豊富なデータ翼座標のデータがあります。UIUCは大学略号で正式名は「University of Illinois Urbana-Champaign(イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校)」です。gifファイルと座標データがあります。   UIUC Airfoil Data Site  トップページです。

UIUC Airfoil Data Site kakudai

  翼型の頭文字をクリックします。ClarkY(clarky)ならば「C」をクリックします。 「C」で始まる翼型が一覧表示されます。

UIUC Airfoil Data Site kakudai

  翼型名の左側が「dat」右側が「gif」ファイルになっています。gifファイルの方は翼の形を見るのに適しています。datファイル名をクリックします。


UIUC Airfoil Data Site kakudai

 開いたdatファイルの座標データはマウスでドラッグしてコピーできます。

コピーしたデータはメモ帳やExcelに貼り付けられます。 翼型のデータは0と1間の数値(少数以下7桁)で表されます。X=1.0000000,Y=0.000000を開始点として左回りに翼の上から下にたどり一周してもとに戻る標準的なものと上だけ左からたどるものが混在しています。上だけ逆にたどったものは下記の「翼座標データ画像変換ソフト」でデータが飛ぶので翼の中心に線が引かれます。 「標準的な翼座標と特性」のデータは訂正してあります。 フリーの翼型解析ソフト「xflr5」では標準的な座標データでないと動きません。

翼座標データのsvg画像変換

 翼座標データは下図のイメージで変換して利用しています。レーザー加工機でも手作業でも利用できます。  実寸大の図を作製して印刷あるいはレーザー加工するにはどうしてもCADが必要です。

ファイル作製の流れ

 上図の左上の「翼座標 → svg作製 フリーソフト」で先ずsvgファイルを作成してからdxfファイルに変換してCADで読み込んでいますなかなか適した描画ソフトがないので作製しました。 「UIUC Airfoil Data Site」のdatファイルをコピーして貼り付け,翼弦長を指定すれば実寸大の図形(svg)ファイルを出力します。 「翼座標データ画像変換ソフト」(yokugata.exe)はこのページの下の方からダウンロードできます。  ソフトを起動すると下図の画面が表示されます。データの初期値はClarkYで翼弦長を指定します。  加工時に拡大縮小できるので,サイズは意味が無いように思われますが,翼弦長の他にスパーやプランク材のサイズも指定するので,それらとともに実寸大のsvgファイルを出力します。

svgファイルなのでそのままレーザーカットに利用できますが,細部はdxfファイルに変換して「AR_CAD」で細かな修正をする必要があります。 「Inkscape」でsvgのまま訂正することもできますが使いにくいと思います。dxfファイルに変換してCADの利用をお勧めします。 無料のsvg → dxfファイル変換ソフトとCADのダウンロードと使い方は「CADとレーザー加工」のページをご覧ください。

「翼座標データ画像変換ソフト」の使い方  ダウンロードしたファイルを解凍して「yokugata.exe」を起動すると下図の画面が表示されます。

翼座標データ画像変換ソフト kakudai

 翼型を変更するときは  クリアボタンを押します。 ①に「UIUC Airfoil Data Site」から数値データをコピーして貼り付けます。 ②で翼弦長を選択します。単位は㎜です。  座標データを出力し,下部にフォルムを出力します。 ③でスパーの位置とサイズなどを指定できます。単位は㎜です。   「スパー1」は前縁から翼弦長の1/6の位置の上側   「スパー2」は前縁から翼弦長の1/3の位置の上側(重心位置)   「スパー3」は前縁から翼弦長の2/3の位置の上側   「スパー4」は前縁から翼弦長の1/3の位置の下側(重心位置)   「前縁カット」は前縁から指定の長さ切りとります。単位は㎜です。   「エルロンカット」は後縁から指定の長さ切りとります。単位は㎜です。   「前上部プランク材」は前縁から翼弦長の1/3の上側を1㎜で切りとります。   「後上部プランク材」は重心位置から後縁までの上側を1㎜で切りとります。   「前下部プランク材」は前縁から翼弦長の1/3の下側を1㎜で切りとります。  スパーの位置とサイズなどを変更したときは⑥の「再描画」ボタンをクリックすればフォルムが再描画されます。 「再描画」のボタンクをクリックしてから④でsvgファイルを出力します。  下図は翼弦長160㎜のフォルムです。

翼座標データ画像変換ソフト

「X座標最大値」より小さい「最小値」とリブの「個数」を入力すればテーパー翼用に大きさの異なる複数のsvgファイルを書き出せます。スパーのサイズやプランク材の厚さは変わりません。 図は完全ではないので手直しが必要です。 「個数」は間の個数です。リブ数は「個数」+1 です。

翼断面図ダウンロード

申し込みのあった翼断面図がダウンロードできます。

関連ソフトウェアダウンロード

実行ファイルの警告が出たとき  ダウンロードしたyokugata.exeは下図の警告が表示されることがあります。

翼座標データ画像変換ソフト

 左上の「詳細」の文字をクリックすると右下に「実行」ボタンが表示されます。このボタンをクリックすれば実行できます。

翼座標データ画像変換ソフト

  警告を表示させないようにするにはexeファイルにマウスを当てて右クリックセキュリティのところの「許可する」にチェックを入れて「適用」ボタンで終了します。


AR_CAD  フリーで公開していただいて大変ありがたく思います。マニュアルが日本語なのも助かります。また,web上にも多くのヒントがあります。  株式会社SHFのページの「一般ダウンロード用」をダウンロードします。無料です。  株式会社SHF 圧縮解凍ソフト株式会社キューブ・ソフト (CubeSoft, Inc.)   安心の国産圧縮解凍ソフトです。使いやすいと思います。


参考文献等UIUC Airfoil Data Site   約1,600の翼型の座標があります。  デコーディング スピットファイア(pdf)   スピットファイアの翼型  Airfoil Tools   「UIUC Airfoil Data Site」の翼型座標を使って計算した揚力係数など豊富なデータがあります。  低レイノルズの矩形平板翼の空力特性   日本航空宇宙学会論文集

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